結膜に炎症を起こすアレルギー性の疾患
アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜(まぶたの裏側と白目の部分を覆っている粘膜)に炎症を起こす疾患です。くしゃみや鼻水などの症状を併発します。
人間の体には、体内に入ってくる異物を排除しようとする働きがあり、この働きを免疫と言います。本来なら、花粉などは異物と感じないしくみになっているのですが、アレルギー体質ですと、これを異物と認識して免疫反応が起こってしまい(アレルギー反応)、症状が現れます。
- 主なアレルゲンには次のようなものがあります
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- スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉
- ハウスダスト(チリ、ホコリ)、ダニ、カビ
- 動物の抜け毛、フケ
- コンタクトレンズの汚れ
など
アレルギー性結膜炎の種類
アレルギー性結膜炎には、主に以下の4種類があります。
- 季節性アレルギー性結膜炎
- 花粉などが原因となり、特定の季節にのみ症状が現れるタイプ。
- 通年性アレルギー性結膜炎
- ハウスダストやダニ、カビ、動物の抜け毛、フケなどが原因となり季節にかかわらず起こるタイプ。
- 春季カタル
- 重症のアレルギー性結膜炎で、特に男子小学生に多く見られ、激しい目のかゆみや白い糸状の目やにがたくさん出るタイプ
- 巨大乳頭結膜炎
- 主にコンタクトレンズの汚れが原因となり、上まぶたの裏側(結膜)にブツブツができるタイプ。コンタクトレンズの洗浄と消毒を行い、常に清潔なコンタクトレンズを使用することが大切です。コンタクトレンズ自体の変更が必要になるケースもあります。
アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎では、主に次のような症状が現れます。
- 目のかゆみ
- 目の充血
- 目のむくみ
- 目の異物感
- 水状の目やにが出る
- 涙が出る
- まぶたの腫れ
- まぶたの裏にブツブツができる
アレルギー性結膜炎の検査
通常は特に検査を行わず、症状から診断しますが、結膜の粘液成分や血液を調べてアレルギーの有無を検査することもあります。
アレルギー性結膜炎の治療法
アレルギー性結膜炎の治療の基本は、薬物療法です。薬物療法の目的は、日常生活に支障が出ないように、かゆみの症状を軽くすることです。 薬物としては、主に抗アレルギー点眼薬(抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエータ遊離抑制薬)が用いられます。重症のケースでは、ステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬などを使用する場合があります。
アレルギー性結膜炎のなかでも、症状の出やすい時期が予測できる花粉などが原因となる場合には、症状が出る前の、花粉飛散時期の約2週間前から、または症状が少しでも現れたら、抗アレルギー点眼薬による治療を始めます。そうすると、花粉飛散ピーク時の症状が軽くなります。毎年、花粉によるアレルギー性結膜炎に悩まされている方は、症状が現れる前に眼科を受診されるようお勧めいたします。 なお、抗アレルギー点眼薬は比較的副作用が少ない薬ですので、使用中は勝手に中断することなく、主治医の指示に従ってください。
アレルギー性結膜炎の対策のポイント
アレルギー性結膜炎の対策のポイントは、日常生活でできるだけアレルゲンを避けるようにすることです。 以下のような対策が効果的です。
花粉対策
- 外出時はメガネ、マスク、帽子を着用する
- 帰宅時は衣類や髪に付着した花粉を払い落とす
- 帰宅後は手洗い、うがい、洗顔を心がける
- 洗濯物、ふとんは花粉を払ってから取り込む
ハウスダスト対策
- こまめな掃除を心がける
- ホコリが溜まりやすい場所は、雑巾などで水拭きする
- 畳や絨毯はダニが繁殖しやすいため、フローリングに変える
- ふとんは天日干しにする